獣医さんの一般企業への就活を応援するブログ -獣医学生の一般企業への就活体験談-

現在外資系の製薬会社で医薬品の臨床開発を担当する30代男性です。私立の獣医学科卒の私が医薬品、製薬(人用です)関連の一般企業への就職活動、その後の実務、転職、希望の職種に就く中で学んだことや、感じたこと、後輩に伝えたいことについて、失敗談を交えて思いついたままに書いていければと思います。

就活失敗の原因 -獣医は特別扱いされない-

こんにちは、kendzillaです。

以前のブログでも触れた通り、私が就活した際の失敗の原因の一つは、「獣医だから」という理由だけで採用してくれる企業があるだろうという、根拠のない過信でした。

今になって改めて振り返ると、この過信は以下に記載する2つの点で就活失敗につながっていたようにように思います。

今回はこの点について少し深く掘り下げつつ振り返ってみようと思いますが、一般企業への就職を目指す獣医学生さんへの私からのメッセージは

「獣医だからといって特別扱いはない!」です。

 

獣医は就活で特別扱いされない!?

 

獣医(正確には獣医師免許取得見込みの学生)は一般企業への就活で優遇されるのでしょうか?

私の答えは「Yesの場合もあるけど限定的」です。

獣医が優遇される事例として、以下のケースを知っています。

獣医が優遇される事例①:安全性・毒性研究関連のCRO

 

CROというのは、主に製薬会社等から医薬品研究・開発に関する一部業務を受託する企業のことです。

安全性・毒性研究の受託に特化した形のCROもあり、そのようなCROでは業務の特性から一定数の獣医師の雇用が必要で、積極的に募集しています。また、獣医師手当という形で毎月数千円の給与上乗せがある企業もあります。

ただし、このような企業は特定の業務に特化した形態であるため、職種も限られます。従って、キャリアパスの選択肢も限定的である側面があるという印象を受けます。

獣医が優遇される事例②:製薬会社等の安全性研究所

 

業務内容としては上記の安全性・毒性研究関連のCROと程度は違えど同様かと思います。また、毎年1-数名の獣医さんを採用している印象を受けます。

CROと記載を分けた理由の一つは、倍率です。

特に名の通った製薬会社の研究職となると、ネームバリューも加わり、志願する獣医学生の数も増えます。私も製薬会社の研究所に応募しましたが、選考が進むにつれ、必ずと言っていいほど国立大の獣医さんと比較されました。(で、負けました。。。涙)

加えて、現在はほとんどの外資系製薬会社の研究所が日本から撤退したので、製薬会社で研究職に就こうと思うと、内資系企業に絞られます。その限られた企業の研究所の特定の研究部門に研究職志望の全国の獣医学生さんが応募するわけです。

さらに、給与水準も高く、製薬会社の業務の幅は広いので、研究-開発-その他部門間での人材交流があり、キャリアパスの選択肢が多いです。従って、人気です。

つまり、製薬会社の研究職でも獣医師の積極採用は行っているようですが、非常に狭き門です。

 

話を戻します。

獣医が優遇される事例を上に2つ記載しましたが(厳密には安全性・毒性研究関連という意味では1つですね)、それ以外の職種では獣医師だからという理由で優遇される事例は知る限り思い当たりません。

そんなことも知らない就活時の私は、ただ何となく「オレ獣医だし、どっかの製薬会社が採用してくれるでしょ」と根拠のない自信を持った私の心の中は各社の採用担当に見透かされ、次々と落とされました。

ちなみに、やはり採用担当の方は採用のプロです。面接時の質問に次ぐ質問の中で本音を引き出されます。私の浅はかな考えもその過程の中で露呈しました。

獣医であるということだけでは特別扱いされませんので、しっかりと自分が獣医学科で学んだことや、これまでの人生での経験をどう活かすかをしっかりと考えてください。(後述)

まとめると、一般企業への就活で獣医が優遇されることはありますが、限られた職種かつ狭き門です。多くの場合、「獣医だから」という理由だけでは特別扱いされません。

どこか上から目線だったエントリーシート

 

もう一つ、上から目線で自慢を並べたイタいエントリーシート(以下「ES」)も失敗の要因だったと思います。

当時、獣医学生であると同時に、留学を経て習得した語学力(TOEIC900オーバー)を誇りに思っていました。ESにも、語学力関連の自慢話を展開したESを各社にばらまいていました。

今になって、新卒採用の選考にも加わる中で気づいたのですが、結果だけ自慢されても困るのですよね。知りたいのは、その結果をどのように達成して、その経験や得た能力を以て会社で何をしたいのかが伝わってこないのですよね。

私の場合、在学期間中に留学資金をアルバイトで調達した努力や、留学終了後も自己学習で英語力を向上させた学習欲をアピールするべきだったところを、TOEICのスコア(結果)だけをアピールしていました。

会社が欲しがっているのは獣医師免許という資格ではなく、その資格取得の過程で得た能力・知識やそれを活かしてチャレンジしたいことに対するビジョンです。そしてそれが企業の需要とマッチしていなければいけません。

上から目線で資格を自慢しても、それはただの押し売りです。超売り手市場でしか通用しません。

 

まとめ

 

獣医を積極採用している企業はありますが、一部の業種/職種に限定されることと、大手製薬会社などの人気企業では獣医学生間での競争になりますので、倍率は高いです。

また、その他の多くの職種、例えば同じ製薬での臨床開発やメディカルアフェアーズなどでは獣医であることで、採用において優遇されるかというと、そうではありません。従って、繰り返しになりますが、「獣医だから」という理由だけでは特別扱いされないと考えた方がいいと思います。

自分が達成した結果や成果だけを自慢するのではなく、しっかりと自分が獣医学科で学んだことや、これまでの人生経験をどう活かすかをしっかりと考えてください。